概要

ISMS(Information Security Management System:情報セキュリティマネジメントシステム)は、組織の情報セキュリティを体系的に管理するための仕組みで、ISO/IEC 27001 として国際標準化されています。SC試験では「リスクアセスメントの流れ」「リスク対応の4選択肢」「PDCAサイクル」が特に重要です。

仕組みと動作原理

ISMSの適用範囲と目的

情報セキュリティの3要素(CIAトライアド)

要素英語意味
機密性Confidentiality許可された者だけが情報にアクセスできる
完全性Integrity情報が正確・完全に保たれている
可用性Availability必要なときに情報・システムを利用できる

PDCAサイクル

フェーズ内容主な活動
Plan(計画)適用範囲・目標・リスクアセスメントISMSポリシー策定・リスク分析
Do(実施)管理策の実装・運用教育・アクセス制御・インシデント対応
Check(評価)監視・内部監査・マネジメントレビューKPIモニタリング・監査
Act(改善)不適合への対処・継続的改善是正処置・予防処置

リスクアセスメントの手順

① リスクの特定
   情報資産の識別 → 脅威・脆弱性の洗い出し → リスクの特定

② リスクの分析
   リスク値 = 脅威の発生可能性 × 情報資産の価値 × 脆弱性のレベル

③ リスクの評価
   リスク値 vs リスク受容基準(Risk Appetite)で優先順位付け

④ リスク対応(次項参照)

リスク対応の4選択肢

対応策説明
回避(Avoidance)リスクが生じる活動をやめる危険なサービスの提供停止
低減(Reduction)技術・組織的管理策を実施してリスクを下げるファイアウォール導入・教育実施
移転(Transfer)保険や委託によりリスクの財務的影響を第三者に移すサイバー保険・SLAによる委託
受容(Acceptance)リスク受容基準以下と判断して許容するコスト対効果で対策不要と判断

ISO/IEC 27001 の構成

本体(要求事項): 組織が満たすべき必須要件(shall の条文)

附属書A(管理策): ISO/IEC 27002 を参照した93の管理策(4テーマ)

テーマ主な内容
組織的管理策(37策)ポリシー・リスクマネジメント・供給者管理
人的管理策(8策)教育訓練・懲戒・テレワーク
物理的管理策(14策)入退館管理・クリアデスク・機器廃棄
技術的管理策(34策)アクセス制御・暗号化・脆弱性管理

ISMS と ISMS-P(個人情報保護)

ISMS-P は ISMS に個人情報保護マネジメントシステム(JIS Q 15001)を組み合わせた認証です。個人情報を大量に扱う組織が取得することが多いです。

SC試験での頻出ポイント

  • リスク対応の4択:「回避・低減・移転・受容」の具体例から分類する問題
  • リスク値の算出式:発生可能性・資産価値・脆弱性の組み合わせ
  • PDCA の各フェーズでの活動:「内部監査はCheckに含まれる」など
  • 附属書Aの管理策の分類:「鍵管理は技術的管理策」「セキュリティ教育は人的管理策」
  • 適用宣言書(SoA):採用/除外した管理策を一覧化した文書。除外理由の明示が必要

よくある誤問・ひっかけパターン

誤り① 「リスク移転でリスクがなくなる」→ 。リスクの財務的影響を第三者に移すだけで、リスク自体(事故の発生可能性)はなくなりません。

誤り② 「ISMS 認証を取得すれば法令違反になることはない」→ 。ISMS は管理体制の認証であり、すべての法令準拠を保証するものではありません。

誤り③ 「附属書Aの管理策はすべて実装しなければならない」→ 。適用除外が可能です。ただし適用宣言書に除外理由を明記する必要があります。

関連用語

  • 個人情報保護法と GDPR — ISMS の技術・組織管理策は個人情報保護にも直結
  • SOC と SIEM — ISMS の「モニタリング」「インシデント対応」の管理策の実装手段

重要キーワード

用語説明
ISO/IEC 27001ISMSの国際標準規格。要求事項と附属書Aで構成
リスクアセスメント脅威・脆弱性・資産価値からリスクを特定・分析・評価するプロセス
リスク受容基準組織がどの程度のリスクを許容するかの基準(Risk Appetite)
適用宣言書(SoA)附属書Aの各管理策の採用/除外とその理由を記載した文書
CIAトライアド機密性・完全性・可用性。情報セキュリティの3要素
ISMS-PISMSと個人情報保護マネジメントシステムを統合した認証