概要
個人情報保護法(個人情報の保護に関する法律)は、個人情報の適正な取り扱いを定める日本の法律です。GDPR(General Data Protection Regulation)は EU の個人データ保護規則で、日本企業でも EU 居住者のデータを扱う場合は適用されます。SC試験では、定義・義務・例外・越境移転の規制が頻出です。
仕組みと動作原理
個人情報の定義と分類
| 種類 | 定義 | 例 |
|---|---|---|
| 個人情報 | 生存する個人を識別できる情報 | 氏名・住所・メールアドレス |
| 要配慮個人情報 | 差別・偏見につながるおそれのある特定の情報 | 人種・信条・病歴・犯罪歴・障害 |
| 個人識別符号 | それ単体で個人を識別できる符号 | マイナンバー・旅券番号・指紋データ |
| 匿名加工情報 | 特定個人を識別できないよう加工した情報 | 統計データ・利用規約の同意不要で第三者提供可 |
| 仮名加工情報 | 他の情報と照合しなければ識別できないよう加工 | 内部分析に活用可だが外部提供には制限 |
個人情報取扱事業者の主な義務
| 義務 | 内容 |
|---|---|
| 利用目的の特定・明示 | 収集前に利用目的を明確にし公表・通知 |
| 適正な取得 | 不正な手段での取得禁止。要配慮情報は原則として本人同意が必要 |
| 安全管理措置 | 漏洩・毀損・滅失防止のための技術的・組織的措置 |
| 第三者提供の制限 | 原則として本人同意が必要 |
| 保有個人データの開示・訂正・削除 | 本人からの請求に対応する義務 |
第三者提供の例外(同意不要のケース)
| 例外 | 具体例 |
|---|---|
| 法令に基づく場合 | 捜査機関からの照会・税務調査 |
| 人命・財産保護で本人同意困難な場合 | 災害時の安否確認 |
| 公衆衛生・児童健全育成 | 感染症対策 |
| 国の機関への協力 | 統計調査への回答 |
| オプトアウト手続き | 第三者提供を公表しオプトアウト機会を提供(要配慮情報は不可) |
GDPR との主な比較
| 観点 | 個人情報保護法 | GDPR |
|---|---|---|
| 適用対象 | 日本国内で個人情報を取り扱う事業者 | EUおよびEEAの居住者のデータを扱うすべての事業者(域外適用) |
| 同意の要件 | 比較的緩やか | 明示的・自由意思・特定的・情報提供済みの同意が必要 |
| データ主体の権利 | 開示・訂正・利用停止 | アクセス・訂正・消去(忘れられる権利)・ポータビリティ・異議申し立て |
| 漏洩通知義務 | 個人情報保護委員会+本人へ報告義務 | 72時間以内に監督機関へ通知 |
| 制裁金 | 措置命令・刑事罰(1億円以下等) | 最大 2,000 万ユーロまたは全世界年間売上高の4%のいずれか高い方 |
越境データ移転の規制
EU からの個人データを日本に移転するには:
- 十分性認定:EU から日本は2019年に十分性認定を受けており、一般的に可能
- 標準データ保護条項(SCC):EU委員会が承認した標準契約条項を使用
- 拘束的企業準則(BCR):グループ企業内でのデータ移転用
SC試験での頻出ポイント
- 要配慮個人情報の特徴:取得に原則として本人の明示的同意が必要・オプトアウトは不可
- 匿名加工情報と仮名加工情報の違い:匿名加工情報は同意なしで第三者提供可、仮名加工情報は内部利用が主
- GDPR の域外適用:日本企業でも EU 居住者の個人データを扱う場合は GDPR が適用される
- 忘れられる権利(Right to Erasure):GDPRのデータ主体は個人データの削除を要求できる
- 漏洩時の報告義務:GDPRは72時間以内の通知義務。個人情報保護法(2022年改正)も報告義務化
よくある誤問・ひっかけパターン
誤り① 「メールアドレス単体は個人情報にならない」→ 誤。氏名なしでも、メールアドレスだけで個人を識別できる場合は個人情報です。
誤り② 「要配慮個人情報はオプトアウトで第三者提供できる」→ 誤。要配慮個人情報は本人の明示的同意が必要で、オプトアウト手続きでの第三者提供は認められません。
誤り③ 「GDPRは EU 企業にのみ適用される」→ 誤。域外適用があり、EU 居住者の個人データを取り扱う日本企業にも適用されます。
関連用語
- ISMS(ISO/IEC 27001)とリスクマネジメント — 個人情報の安全管理措置に ISMS を活用
重要キーワード
| 用語 | 説明 |
|---|---|
| 要配慮個人情報 | 人種・病歴・犯罪歴など、取得・提供に明示的同意が必要な情報 |
| 匿名加工情報 | 特定個人を識別できないよう加工した情報。第三者提供は同意不要 |
| 仮名加工情報 | 他情報との照合なしに識別不可な情報。内部分析向け |
| オプトアウト | 拒否しない限り第三者提供される仕組み(要配慮情報は不可) |
| 十分性認定 | EUが第三国のデータ保護水準を十分と認定する決定 |
| 忘れられる権利 | GDPRのデータ主体が個人データの削除を要求できる権利 |